津上俊哉 現代中国研究家・コンサルタント

津上一目押し

中米日:もっと積極的な将来
-エズラ・W・ボーゲル(ハーバード大教授)に訊く-
2002/09/09
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許知遠 覃里ぶん 黄継新
問:  今年は中日国交回復三十周年です。この三十年間に我々(中国人及び日本人)は大きな収穫がありました。貴方はこの三十年の歴史を振り返って総括すべき経験としてどのようなものがあると思いますか?
答: (・・・・・・一部略)しかし、一九九二年以降、中日関係は変化しました。日本人は第二次大戦期多くの悪事を働きました。それは日本国内を含めて客観的な人はみな否定し得ません。しかし、いまの日本人の九十%以上は戦争後に大きくなった人たちです。したがって、彼らに戦争の責任を負わせるべきではないと思います。戦争時代の指導者ではないのですから。
   
問:  中日両国間の最も主要な誤解はどこにあると考えますか?
答:

 私は両国間の最大の問題は誤解ではなく、戦争に対する認識にあると思います。日本は確かに戦争中悪事を働いた、疑いもなく。しかし、もっと未来に眼を向けることも必要でしょう。私は将来のアジアにおいて最も有力な二ヶ国は日本と中国だと思っています。ですから中日関係はかならずうまく進めなければならない。これは世界にとっても、中国にとっても、日本にとっても、そして米国の前途にとって、みな極めて重要なことなのです。
 加えて言えば、中国では日本を理解している人がまだ少ない。中国は八〇から九〇年代米国に多くの留学生を送りましたが、日本にはそれほど送らなかった。中国で本当に日本を理解している人は依然として足りません。

   
問:  中日関係において、米国はどのような作用を発揮できるのでしょうか?
答:  これまでに米国が果たしてきた役割は十分ではありませんでした。米国はもっと多くの場面で中国と日本の協力を支持し、中日米三国が参与する会議をもっと多く開催すべきです。最近中日米三国が参加する第二次大戦に関するセミナーに出席しましたが、三国の学者は本当にうまく協力し合えたし、みなとても客観的でした。こういうやり方は悪くない。多くの分野で三国の会議を開くべきだし、協力範囲ももっと広く拡げるべきです。中日だけで会議を開くとかえって気まずいこともあるでしょうが、これが三国いっしょだとみな比較的容易に客観的で中立的な解決方法を探し当てられるなど、様々なメリットがあると思うのです。
 中日関係の問題について、米国はもっと積極的になるべきです。米国には、将来中日間の協力が拡がりすぎると、中日両国が連合して米国に反対するようになるのではないかと考える人もいますが、私はあり得ないことだと思います。米国はそこで恐れるべきではなく、もっと大胆に中日両国が良い関係を結ぶのを支持すべきです。中日米の三国間に問題がなくなったとは言いません、問題は依然として存在します。将来にも危険はある。しかし、二十年以後の三国の協力はより緊密化している、そういう可能性が大きいと思います。
(『経済観察報』 2002年9月9日)