津上俊哉 現代中国研究家・コンサルタント

津上一目押し

「新思考を中日関係の『新幹線』の路床にしよう
2002/10/03
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弘 岩

(…略)中国経済の飛躍の過程、とりわけ改革開放初期で中国政府に最もカネがなかった頃、出し惜しみもせずに資金と先進技術を中国に持ってきてくれた日本の功績が消えることはない。まさに中日両国が戦争状態を終結し、国交を回復して以後の三十年間に中国が得た最大の収穫だろう。

 ある人が慚愧の思いで、かつて自分がいじめた隣人のために大金を投じて家の修繕をしてやった、なのに、結果は相変わらずその隣人から罵られる毎日だとしたら、その人はどんな思いがするだろう?日本では既に「こんなに出し甲斐のない使い方になるくらいだったら、ODA援助の方式ではなく最初から戦争賠償の方式をとって表でカネを使った方がまだマシだった」と言う学者が出始めている。

 歴史と現在を截然と切り分けることは出来ない。我々が日本を「歴史問題に正確に向き合うことができない」と批判するなら、同時に振り返って我々はいまの現実の中で日本に正確に向き合ってきたかどうか、日本は本当に一部の人が言うように頑固に変わることを拒絶してこれぽっちも悔い改めていないのかどうか考え直してみるべきだろう。

 相手の立場に立ってみて正当な評価を与える、それこそ中日両国が歴史問題によって隔てられた懸隔を超えて真実の友好関係を築いていくための現実に実行可能な唯一の途であろう。(略…)

(『東方時報』 2002年10月3日)