津上俊哉 現代中国研究家・コンサルタント

「岐路に立つ中国」目次
2011/02/04
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序 章 中国の対外意識に見られる歴史のトラウマ
 警戒感と猜疑心に満ちた 「対外意識」
 リットン調査団報告書が教えること
 「妥協=投降=売国」 という歴史観
 中国の 「統一口径」 を知っていますか
 大きな転機になった世界金融危機
 変貌し始めた 「西側」 に対する意識
 「中華復興」 のチャンス

人民元問題の出口は見つかるか (第1の壁)
 90年代の中国経済はどう見られていたか(あるエピソード)
 2000年以降の中国高度成長はリフレ・通貨安政策でかなり説明できる
 「元高怖い」の集団強迫観念
 人民元問題がもたらす弊害
 基軸通貨を目指し始めた人民元
 補論 アジア共通通貨の得失

都市と農村 「二元社会」 を解消できるか (第2の壁)
 中国の戸籍制度 「農民=二等公民」という恥ずかしい現実
 中国の土地制度 農村は如何に「都市化」するか
 2009年住宅暴騰 4兆元対策がもたらした後遺症
 「小産権マンション」が暗示する高値の背景
 中国不動産はバブルか
 「二元社会」問題のソリューション
 補論 中国は分税制ver2.0を必要としている

「国退民進」から「国進民退」への逆行を止められるか (第3の壁)
 「官の官による官のための経済」
 「官」偏重の所有・分配構造が成長を阻害
 国有企業の富を「民」に移転せよ
 年金原資の積立不足を解消できるか(隠れた国家債務)
 政府の経済介入はろくな結果をもたらさない
 「官製資本主義」の膨張は止めなければならない
 国有企業のもたらす弊害
 このままでは中国経済は行き詰まる

政治体制改革は進められるか (第4の壁)
 変わり始めた中国社会
 民主選挙の導入
 政府内部で進むガバナンス改善努力
 省庁の「オートノマス」化がもたらす問題
 補論 人民解放軍の「国軍」化問題を考える
 見通しがなかなか立たない司法の独立
 メディアなど在野の言論による権力チェック
 中国人は性急な民主化を望んでいるのか

歴史トラウマと漢奸タブーを克服できるか(第5の壁)
 「韜光養晦」 論vs 「核心利益」 論
 政府公式見解になった 「核心利益」論
 歴史タブーによる「不対称」な世論形成
 「核心利益」論のどこが危険か
 周辺諸国の反発
 歴史トラウマは変わるのか 「再論 日中関係は夜明け前」
 変わり始めた民衆の「対日観」

「未富先老」問題を解決できるか(第6の壁)
 一人っ子政策は中国の持続可能な発展を危殆に瀕させている?
 「一人っ子政策」 批判はタブー?
 人口動態問題の怖さ-いま直ぐ舵を切っても、もう間に合わない
 「老いてゆくアジア」が描く「ポスト人口ボーナスの衝撃」
 「未富先老」の不安
 「雁行形態パラダイムver2.0」
 「チャイナ・アズ・ナンバーワン」 勝負は21世紀後半に持ち越しへ

世界に受け容れられる理念を語れるか(第7の壁)
 理念を語れ 中国が「大外交」を実現する条件
 中国は「どんな世界を作りたい」のか
 「ウェストファリア条約体制」の黄昏に戸惑う中国
 正確な台頭タイムテーブルが必要
 語るべき理念を紡ぎ出すには時間がかかる
 中国は東洋の思想と理念を打ち出せるか

シミュレーション「超大国中国、何処へ行く?」
楽観シナリオ
 「未富先老」ショック
 成長鈍化の前に改革開放を再加速
 住宅問題解決と都市化の推進
 官製資本主義の是正
 人民元問題の解決
 政治体制改革
 漢奸タブーと歴史トラウマ問題の克服
 COPの大団円
 日中関係の夜明け

悲観シナリオ
 解決しないままの人民元問題
 高齢化の 「衝撃」
 物価上昇
 老後の不安
 二元社会のままの都市・農村
 猖獗極める官製資本主義
 COPの頓挫
 未来への希望を失った国民
 日中関係の破局

日本は今後中国とどう付き合うべきか
 尖閣事件の衝撃-尖閣事件は日中関係に一つの転機をもたらす
 中国の軍拡に如何に対応すべきか
 今後の対中戦略のあり方「対中包囲網」は有効か
 気になる日本側の「弱国心理」-過度の悲観やパニックに陥ってはならない
 今後の日本が直面する三大リスク
 補論 「北朝鮮有事」への違和感

日・中・米の三角形のあり方
 日・中・米の関係はいかなる三角形に例えられるか
 中米関係は日本が想像するよりも近くて深い
 日米関係は日本が考えているほど緊密で近しいとは限らない
 将来の理想ではあっても、現実から遠い「正三角形」説
 「対米従属」は人のせいにする式の考え
 原因は「日米サークル」に対するガバナンスの不全
 補論 普天間海兵隊の代替施設は何のために建設するのか
 「緊密」なだけでなく「一目置かれる」日米関係を目指せ
 吹きこぼれないビンを目指す
 外交の要諦は貸しと味方を作ること
 結び