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慶祝 「フラガール」映画賞総ナメ!

先々回取り上げた「フラガール」が第30回日本アカデミー賞で五冠を達成しました。恭喜恭喜!


                     慶祝 「フラガール」 映画賞総ナメ!


  夕べ ( 2 月 16 日) の第 30 回日本アカデミー賞授賞式で先々回取り上げた 「フラガール」 が五冠を達成した ( 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞、話題賞 (一般投票) )。 これで 「フラガール」 が受賞した映画賞は全部で 11 賞となった (蒼井優さんは、その全てで主演女優、助演女優又は新人賞を受賞した!)。Wikipedia で見てみると、それぞれの賞の裏には複雑な利害関係もあるようだけど、これだけ総ナメすれば文句のつけようがないです。恭喜恭喜 ( Gongxi Gongxi ) !

  「フラガール」、前々回取り上げた後もネットあさりしてみると、いよいよ面白い。たとえば、プロダクションの 「シネカノン」 。・・・なんだ、大ヒットした韓国映画 「シュリ」、印象的だった邦画 「月はどっちに出ている」、「パッチギ!」 ・・・みんな 「シネカノン」 の制作又は配給だった・・・。最近作や上映予定作を見ても絶好調! 「旬」 なプロダクションですねぇ。その実績に加えて、資金を大きな映画ファンドで集めているところも李鳳宇さんという代表者のセンスと才覚を感じさせる。
  名前から在日の人と思われ、「韓流の下地を作ったのはシネカノンだ」 と評してあった。「月はどっちに出ている」、「パッチギ!」 も在日が主人公の映画だった。シネカノンはソウルに自前の小屋があって、過去「パッチギ!」が上演されたし、「フラガール」 も近日上演予定だという。

  日本映画界の本流ではないところから新しい人材が生まれ、目の覚めるようなパワーで日韓の架け橋を担う・・・いい話!、「フラガール」 監督の李相日さんともども、頑張ってほしい。
  「日本と東アジアの文化交流、相互理解」 と書くと 「官製」 臭がして、チト萎えるが、要するに国境や民族を超えた 「共感」 を生み出せるかどうかが成否のカギだと思う。
  共感できる (したい) ところだけ共感することの限界と危険については、以前取り上げた孫軍悦さんの 「日中 『文化交流』 再考」 に鋭い指摘があったが、その課題は次のステップに譲ろう。いまの日韓、日中関係を少しでも良くするには、もっと、もっと、互いに 「共感」 できるところを探す努力が欠かせないと思う。その点で 「娯楽」 の持つ力は大きい。日本アニメの実力は世界中の知るところとなったが、作品によっては 「無国籍」 になってしまう。その点、映画やテレビにはもっと潜在力があると思う。

  幸いなことに、映像作品で国境を跨いだ人の乗り入れが進む気配がある。最近中国映画に出演した日本の俳優は金城武、香川照之、高倉健、真田広之、寺島しのぶ、渡辺謙など、どんどん増えている。今年秋には、中井貴一主演兼プロデューサーの日中合作映画 「鳳凰」 (監督:金セン曾) も公開予定だ。
  日本ではあまり知られていないが、完全に中国ベースで活動する矢野浩二さんという俳優もいる。彼とは北京の飲み屋で偶然会ったことがある。中国の若い女性の間で 「性感 (sexy) !」 と人気のあるイケメン俳優である。回ってくる配役は旧日本軍の軍人が多いのだけれど (やっぱり・・)、出色なのは、彼の出る中国映画で彼の演ずる日本軍人は、喜怒哀楽のある 「人間」 の顔をしているところだ。
  そして、戦国時代の中国を舞台にした日中韓合作の映画 「墨攻」 は酒見賢一氏の原作に基づく森秀樹氏のコミックを翻案した作品で、共同プロデューサー、撮影監督、音楽が日本人だ。
  中国作品ではないが、先週放映されたテレビドラマ 「李香蘭」 で主役を演じた上戸彩さんが歌った 「夜来香」 は、一瞬 「吹き替え?」 と思うほどの出来映えだった。上海ロケの数ヶ月間、他の音楽を一切聴かずに李香蘭の曲ばかり聞いて特訓した成果だそうで、あっぱれ、あっぱれ(^_^/~


  ・・・やれやれ、また大脱線してしまったが、これだけ映画賞を総ナメした 「フラガール」 は、もう 「近年日本映画の代表作」 と形容してもよい名作だと思う。韓国だけでなく、是非、中国でも上演されることを願う。
  ちなみに、蒼井優さんは 2004 年に参加した釜山国際映画祭で 「日本映画の認知度の低さに驚き、日本映画にもっと深く関わっていきたいと思うようにな」 った由、その意気や良し! 是非、これから東アジア全域で共感を呼べる仕事をたくさんしてください。
平成19年2月17日




 

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