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ブログ 津上俊哉
「大恐慌」 フォロー5回目への追記

米国の金融安定化法、実は、公的資本注入の権限を書き込んであったそうです。


                前回のフォロー5回目に一点、修正・追記します。


  前号で 「米国では 『公的資金注入』 の一点が“missing piece”のまま」 だと書いたが、今日のFTに “US shift as UK sets out to recapitalise” という記事が載っている。記事の中身は概略以下のとおり;
? 成立した米国金融安定化法には、既に銀行への公的資本注入の権限を財務長官に付与する規定が設けられている
? ポールソン長官は従来資本注入に懐疑的だったが、周囲には資本注入案の推奨者が多いことから、最近 「経済的に考慮に値する」 と考えを変えつつあり、来週初めにもこれが成案化する可能性が出てきた
? 資本注入案は改めて議会で論議を呼ぶだろうが、いわばウォレン・バフェットが最高のブルーチップ企業であるGSやGEにだけ行った投資をもっと広い範囲の金融機関に対して行う話であり、議会筋も不良資産買取よりも大きなリターンが見込めるので、納税者の利益に鑑みて受け入れ可能だと反応する可能性がある
? 注入財源は7000億ドルから捻出することになるが、専門家は 「財務省は財源の半分程度を注入に使うとの案に傾いている」 と見ている、もちろん不良資産買取をやらない訳ではなく、買取と資本注入をタンデムで実施する方向に行くだろう。

  「金融安定化法は規定の中に (第113条?) 公的資本注入権限をこっそり忍び込ませてあるのではないか」 ということは、最近たびたび引用させてもらっている金融ブロガー、nobinobiさんが法案公表直後から 「グラの相場見通し」 で指摘していたが、卓見だった訳だ。
  上記記事に 「来週初めには成案化する」 との観測があるが、一足先に注入を決めた英国や最初から資本注入を呼びかけてきた日本も参加する今週末のG7で endorse して打ち出す作戦なのかしら。そうなれば 「朗報」、というか、そうでもしないと来週のマーケットはもたないだろう。
  買取と資本注入のタンデムになれば 「手術道具」 は一応揃う訳で、残るは財源が7000億ドルで足りるか否か、足りなければ次期政権で増額してくれ、という運びになるのかも知れない。




 

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