国際通貨体制のこれから (その1)
なるほどガッテン・・・の解説を見つけました。
国際通貨体制のこれから(その1)
なるほどガッテン・・・の解説
「なるほどガッテン」 なんて、テレビ番組タイトルのパクリみたいだが、今晩ウェブで見つけた通貨問題の解説に妙に納得してしまった。「その道のヒト」 から見ると当たり前かもしれず、みんなに触れ回る話かという気もするのだが、学習ノートのつもりで書いてみる。
読んで納得したのは「通貨危機」 ユーロ、「迷走」 ドルの真相と題する解説、著者は一橋大学大学院商学研究科の小川英治教授だ (余談だが3年近く前、参議院の参考人意見陳述という、筆者のごとき商売人が出るのは場違いな場所で小川先生とご一緒させていただいたことがある)。
この解説は金融危機の深刻化により、もろさを露呈したはずのドルの減価が限定的なものとなっていて、むしろユーロや一部のアジア通貨が暴落する事態となっている現状をどう理解したらよいか?という点を取り上げたものだ。
結論を一言で要約すれば、それは危機を言われながらも、ドルがいまのところ依然として唯一の基軸通貨という地位を失わずにいるからだということになる。とくに筆者が目を留めたのは次のくだり。
・・・ユーロはユーロ圏およびEU域内における決済通貨として利用されているものの、域外諸国とは依然としてドルを決済通貨として利用せざるをえない状況において、欧州の金融機関が傷んだバランスシートのためにドル資金を調達できないことが、ユーロをドルに対して大きく減価させることになっている。
逆に言うと、ユーロ圏およびEU域内を除くと、世界経済における決済通貨をドルが独占していることから、グローバル金融危機によってバランスシートを傷めた世界中の金融機関へのドル資金の供給が細り、これらの金融機関がドル資金を欲しても調達できないことから、ドルに対する超過需要状態が発生して、アメリカ発のグローバル金融危機のなかでドルが相対的に増価する事態となっている。
こう引用すると当たり前のことを書いてあるだけのようにも思える。しかし、筆者は同じことを漠然と感じてはいたが、読んで初めて、文字の形をとって、つまりロジックとして頭に入った気がした。
「欧州の金融機関のバランスシートが痛んでいる」 という点については、金融ブロガーさんたちがかねて警告していたことが思い浮かぶ。つまり、金融機関の痛み方という点では、世上耳目が集まりがちな米国金融機関より、むしろ米国同様の土地バブル (スペインや ユーロ圏外だけど英国など) や米国に倣った証券化商品のビジネスモデルで米国同様に痛み、かつ、近時急激に “hard hit” されているBRICs (Chinaだけは当面除外だけど) に対する投融資の “exposure” が日米金融機関よりはるかに大きい欧州の金融機関の方がよほど深刻、ということだ。
そして 「ユーロはユーロ圏およびEU域内における決済通貨として利用されているものの、域外諸国とは依然としてドルを決済通貨として利用せざるをえない」 とあるのを読むと、11月のG20金融サミットの前後にサル誇示、おっと変換間違い、Sarközy 氏が 「ドル基軸体制の終焉」 みたいなことを言い立てた背景が浮かび上がってくるような気がする。
つまり、「ユーロがドルに取って代われる日が来た」 といった高揚感とは対極の、尻に火がついた危機感や 「危機の震源地のくせに “Seniority” の特権を失わないドルのせいで、欧州の危機が深刻化している」 といった不満から出た発言ではないかという気がするのだ (素人の憶測だけど)。
小川教授は解説の末尾で 「グローバル金融危機によるドルの相対的な増価は短期的な現象であり、今後アメリカ財政赤字の増加、双子の赤字 (財政赤字と経常収支赤字) の深刻化に伴い、長期的にはドル安が発生する」 可能性にも触れている。
そのとおりだと思うが、問題はその過程と結末や如何にある・・・半可通の筆者が国際通貨問題ばかり書いていても、読者の皆さんは付加価値を感じないと思うので、以下は次回エントリで中国にこと寄せて書くつもりです。
平成20年11月28日 記
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