蘇州から 「街角消息」 をショート・ポスト
また蘇州に仕事で来ているのですが、街角で興味深い現象を見つけました。
蘇州から 「街角消息」 をショート・ポスト
へぇぇ・・・また蘇州に仕事で来ているのだが、街角で興味深い現象を見つけたので、ごくごくショートなポストを。
蘇州は日系大企業の工場がたくさん進出しているので有名な街だが、そういう日系工場の正門前に軒並み 「社員募集」 が出ている。聞いてみると、最近受注が急回復、操業水準を以前どころかそれ以上に上げたいが、過去1年整理縮小したワーカーを増やそうにもなかなか見つからず、それがネックで増産ができない企業が続出している由だ。
不思議に思うことはいろいろある。受注の急回復は中国内需によるものか、それとも輸出によるものか。蘇州に進出している日系大企業は電子部品とか精密機械が多い。こういう業種の欧米とか日本の販売が回復したという話は聞かないから、やはり中国内需のなせる技か・・・。
好況時に人手不足というのは分かるが、いまみたいな不況時になぜ人が集まらないのか?当地で聞いた二つの解説は、以前ワーカーを出していた内陸 (蘇州で言えば安徽省とか四川省とか) も4兆元対策やらで景気が悪くないから、労働輸出が減っている、というのと、昨秋以降の経済 「フリー・フォール」 の一時期、これらの工場でレイオフに遭った後、春節で一時帰郷した若者はけっきょく都会に帰ってきたのだが、とにかく喰わなきゃいけないので、何らかの職に就いてしまった。再募集だからと言ってそう直ぐに戻っては来ないというもの。どちらも一面正しいのだろうが真相如何?
「なかなか見つからない」 とは言いじょう、賃金を訊いてみると1000元よりも多いが1500元には達しないとか。1年ちょっと前までの好況期のピークに比べると低い。田舎から戻ってこさせるにしても、再デューダさせるにしても、ワーカーから見るといまいち 「その気にさせてくれない」 水準ということだろう。最後の疑問にも繋がるが、こういう場合、普通は時間をかけて賃金が上がり、どこかで需給がマッチするものだ。蘇州の賃金もまた上がるのだろうか。そうなると、日系企業にとってはいいニュースではないが、中国経済全体にとっては悪くないニュースだ。
最後の疑問は、これって何時まで続く現象か? だ。世界経済の恢復にはまだ長い時間かかりそうだ。最近は 「底入れ」 の見方を目にすることが増えたが、商業不動産だの何だの、もう一波波乱が来るという悲観的見方も根強い。日本は 「失われた10年」 を経験してから日が経っていないので、今後の世界経済にW字型・底割れの dejavu を重ね合わせて視る人が少なくない。
中国内需に関して言えば、4兆元対策の後継、第二弾が何時、どれくらいのマグニチュードで出てくるかだ (「4兆元対策の後は自律回復」 というのは中国についても楽観に過ぎる)。来週は4中全会、10月初めの国慶節の後は経済工作会議の準備が始まる。筆者は年末までに対策が出ると思うが、さて如何?
平成21年9月10日 記
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