「朝鮮は中国民衆の感情を害するな」
環球時報6月3日付け社評 (抜粋 訳文責:筆者)
中国民間の対 (北) 朝鮮好感度は歴史上の最低点に落ちた。朝鮮の数々の行いが過去数十年にわたって彼の国が中国社会に累積してきた肯定的な国家イメージをいたく傷つけている。朝鮮当局は中国民間の感情の変化とこれが中朝関係に及ぼす影響を重視すべきだ。
この数年の二度にわたる核実験、度重なる国際合意違反をみて、多くの中国民衆が、この有様でこれまでのように中朝関係を 「鮮血で固められた友誼」 関係だと形容できるのかと疑問を表明している。多くのネチズンが朝鮮の行いに対する反対意見をネット上に書き込み、甚だしくはこの行いを 「恩を忘れ、義に背く(忘恩負義)」 ものだと視ている。ネット上の書き込みから見てとれる中国の民意とは、朝鮮が国家安全を求める心理をある程度理解できるとしつつも、その過激なやり方は受け容れられないというものだ。多くの民衆が朝鮮のやりすぎに失望を表明し、「朝鮮はまさに北東アジアの和平を破壊しようとしている」 と認識し、「朝鮮の軽率な振る舞いがが中国を戦争に巻き込むのではないか」 と不安を感じている。
中国民衆から見れば、中朝の関係は唇と歯のように寄り添う近しい関係だ、朝鮮戦争当時、数十万人の中国義勇軍が肩を並べて血を浴びる戦いをしていなければ朝鮮は今日存在しなかった。中国は朝鮮外交のほとんど唯一の出口であり、朝鮮は中国を通じて最も貴重な支援を得てきた。中朝の伝統的な(友好)関係は朝鮮発展が頼れる唯一の補給線であるはずだ。中国民衆はだからといって、これを以て朝鮮を押さえつけるつもりは全くないし、朝鮮がこれを恩義に感じてくれることも期待していない。
しかし、朝鮮が引き起こした核実験は、中国民衆の願いをまったく顧慮しないどころか、中国民衆からみると中朝関係をカードのように切って突きつけてきたとすら映っている。
朝鮮は中国民衆の気持ちを害すれば中朝関係の根本を揺るがし、毀損してしまうことをはっきり認識すべきである。中国民衆の対朝鮮観の転換は必ずや中国の対朝政策に影響し、朝鮮の 「戦略空間」 を狭めてしまうだろう。中国政府とて中国民衆の願いに反して際限なく朝鮮を庇い、我慢して中朝の戦略的関係がいっさい損なわれることのないように維持していくことはできない。いったん中朝関係が徹底的に損なわれれば朝鮮の目下の実力からして国際社会の中で生存を維持することは不可能であるはずだ。
中略
和平、無核化、(六ヶ国) 協議への復帰は依然として朝鮮と国際社会双方の願望の最大公約数であり、中国民衆の北東アジア情勢に対する最大の願望でもある。朝鮮はこのような中国民衆の本当の想いを見過ごすべきではない。中国の民意を尊重することは朝鮮が自身の利益を最も尊重することにつながり、国際社会の尊重を取り戻すことにもつながるのだ。