尖閣列島付近で起きた中国漁船の拿捕、船長の逮捕時件を巡って、日中関係が次第にのっぴきならない緊張状態に陥りつつあります。この問題を契機として、対中安保、とくに南西島嶼部の安全保障を日米安保との関係で考えてみました。
同氏は尖閣問題のあらまし、近況を紹介した上で、大略以下を述べている。
(1) ちっぽけな、しかも中国のものかもしれない岩礁である。米国はその領有を巡る争いには中立でいたいが、やっかいなことに、日米安保条約により日本の施政下にある地域を防衛する義務を負っているうえ、沖縄を返還するときに、これらの島は日本に属すると認めた経緯がある。よって、米国は 「島は必然的に日本のもの」 と同意している訳ではないのに、島を巡る戦争がおきれば日本を助けなければならないという馬鹿馬鹿しい (absurd) な立場にいる。
(2) 現実問題として、米国がここで条約上の義務を履行するために、核戦争のリスクを冒してまで中国と対決する可能性はゼロだが、仮にそこで日本を助けなければ、今度は日米安保関係が疲労限界を超えてしまうだろう。
(3) 島の領有根拠を巡る日中双方の言い分について、自分は中国の言い分にやや分があると感ずるが、決め手に欠ける。国際司法裁判所に問題を預けられればよいが、そうはなりそうもない。
(4) 今後中国のナショナリズムが強まり、海軍力が増強されるにつれ、我々は何らかの軍事的衝突を目にすることになるだろう。ここで問題の所在について読者の注意を喚起しておく。